生成AIを使った検索や対話型のAIアシスタントで、製品やサービスを調べる人が増えています。BtoBの購買検討でも、候補企業の概要、製品の機能、料金の目安などをAIに尋ねてから公式サイトを見る、という流れは珍しくなくなりました。
そこで問題になるのが、AIの回答に自社の情報が誤って表示されるケースです。すでに終了した製品が現行品として紹介される、改定前の料金が示される、所在地や事業内容が実際と違う、といった誤りは、検討の初期段階で見込み顧客の判断をゆがめるおそれがあります。しかも、AIの回答画面の中で完結してしまうと、自社がその誤りに気付く機会自体が少なくなります。
本記事では、BtoB企業のマーケティング・DX推進の担当者に向けて、AI検索 誤情報 対策の考え方を整理します。誤って表示される原因の切り分け、公式情報の整備、修正の優先順位の付け方、継続的な監視の進め方を、実務で取り組める順番に解説します。
対策を考える前に、なぜ誤りが起きるのかを把握しておく必要があります。AI検索の回答は、Web上の情報をもとに要約・生成されるものが多く、元になる情報の状態や、AIが情報を組み合わせる過程によって誤りが生じます。代表的な原因は次のとおりです。
公式サイトに製品の仕様や料金体系、会社概要がはっきり書かれていない場合、AIは第三者のページや断片的な情報から内容を推測しがちです。また、同じ情報が複数のページに少しずつ違う表現で載っていると、どれが正しいかをAIが判断しにくくなります。
過去のプレスリリース、旧製品ページ、以前の料金表、移転前の住所などが公開されたままになっていると、AIがそれを現在の情報として扱うことがあります。自社サイトの中だけでなく、外部のニュース記事や紹介ページに古い情報が残っている場合も同様です。
比較サイト、まとめ記事、求人媒体、企業データベース、SNSの投稿など、自社以外が発信した情報が誤っていたり古かったりすると、それがAIの回答に反映されることがあります。第三者の情報量が公式情報より多い場合、影響はさらに大きくなりやすいと考えられます。
社名や製品名が一般的な単語に近い場合や、同名・類似名の企業や製品がある場合、AIが別の対象の情報を混同することがあります。略称や旧名称が複数使われている場合も、同じ対象として正しく結び付けられないことがあります。
元の情報が正しくても、AIが文脈を取り違えたり、もっともらしい内容を補ったりして誤った回答を生成することがあります。いわゆるハルシネーションと呼ばれる現象で、公式情報を整えても完全には防げない点を前提に対策を考える必要があります。
誤った回答を見つけたとき、すぐにサイトを修正したくなるかもしれません。しかし、原因が分からないまま手を加えても、効果が出なかったり別の誤りを生んだりすることがあります。まずは次の手順で原因を切り分けましょう。
見込み顧客が実際に尋ねそうな質問を一覧にし、主要なAI検索・生成AIサービスで回答を確認します。質問の例は次のとおりです。
回答は日付、使用したサービス、質問文とあわせて記録します。AIの回答は同じ質問でも変わることがあるため、一度の確認だけで判断せず、表現を少し変えた質問も試すと傾向がつかみやすくなります。
記録した回答を、公式情報と照らし合わせて分類します。分類の目安は次のとおりです。
種類によって対応が変わるため、この分類は後の優先順位付けにも役立ちます。
参照元のリンクを示すAI検索サービスであれば、そのリンク先を確認します。参照元が示されない場合は、誤った内容に含まれる特徴的な言い回しや数値で通常のネット検索を行い、同じ内容を載せているページを探します。旧製品ページ、古いプレスリリース、外部の紹介記事などが見つかることが多いはずです。
情報源が特定できたら、次の三つに振り分けます。
自社サイト起因であれば修正は比較的早く進められます。外部情報源起因であれば掲載元への連絡が必要です。情報源が見当たらない場合は、正しい情報を明確に発信し、AIが参照しやすい状態を整えることが基本的な対応になります。
原因が何であっても、土台になるのは公式情報の整備です。自社の情報について最も信頼できる情報源が公式サイトであると分かる状態をつくることが、誤情報対策の出発点になります。
社名の正式表記と読み方、所在地、事業内容、問い合わせ先などを会社概要ページに集約します。社名の略称や英語表記、旧社名がある場合は、その関係も明記しておくと混同を防ぎやすくなります。
製品・サービスごとにページを設け、何をするものか、誰に向いているか、主な機能、提供形態を具体的に記載します。抽象的なキャッチコピーだけでは、AIが内容を正しく要約できない場合があります。終了した製品やサービスは、ページを残すかどうかを含めて扱いを決め、残す場合は提供終了であることと後継サービスを明記します。
料金を公開している場合は、最新の料金表を一か所にまとめ、改定日を記載します。個別見積もりの場合は、その旨を明記しておくことで、AIが根拠のない金額を示すリスクを抑えやすくなります。過去の料金が書かれたページや資料が公開されたままになっていないかも確認しましょう。
社名、製品名、サービス名の表記をサイト全体で統一します。見出しの階層を整理し、質問と回答の形式で要点をまとめたページを用意するのも有効です。あわせて、構造化データで組織情報や製品情報をマークアップしておくと、検索エンジンやAIが情報の意味を把握しやすくなるとされています。
過去のお知らせやプレスリリースは、記録として残すことに意味がある場合もあります。削除するかどうかは慎重に判断し、残す場合は「掲載時点の情報です」といった注記や、最新情報ページへの案内を加えると、古い情報が現在の情報として扱われにくくなります。
誤りが複数見つかった場合、すべてを同時に直すのは現実的ではありません。限られた工数で効果を出すために、次の判断軸で優先順位を付けます。
料金、契約条件、提供範囲、問い合わせ先など、見込み顧客の判断や行動に直接関わる情報の誤りは、優先度を高くします。誤った問い合わせ先が示されている場合は、機会損失だけでなく信頼にも関わります。
単なる表現の違いよりも、事実と異なる内容、法令や契約に関わる内容、自社の評判を損なう内容のほうが深刻です。存在しない機能を「できる」と紹介されている場合、導入後の期待とのずれにつながるおそれがあります。
自社サイトの修正で解消できるものは、着手しやすく効果も確認しやすいため、早めに対応します。外部への依頼が必要なものは時間がかかる前提で、並行して進めます。
複数のAIサービスで同じ誤りが出ている場合は、共通の情報源がある可能性が高く、その情報源を直すことで広く改善が期待できます。特定の質問の仕方でだけ現れる誤りは、優先度を一段下げてもよいでしょう。
これらの判断軸を組み合わせ、たとえば「影響が大きく、自社で直せるもの」から着手し、次に「影響が大きく、外部対応が必要なもの」、その後に「影響が比較的小さいもの」という順に進めると、取り組みの全体像を関係者と共有しやすくなります。
外部のページに誤りや古い情報がある場合は、掲載元に修正を依頼します。依頼の際は、どの記述がどう違うのか、正しい情報は何か、根拠となる公式ページはどこかを具体的に伝えると、対応してもらいやすくなります。
自社で情報を登録・更新できる企業データベース、地図サービス、各種プロフィールページなどは、自社で内容を確認し、最新の状態に保ちます。また、AIサービスによっては回答に対するフィードバックの仕組みが用意されている場合があります。利用できる場合は活用しつつ、それだけに頼らず、元になる情報源の改善を優先するのが基本です。
AI検索の回答は、元になる情報やAIの仕組みの変化に応じて変わります。一度修正して終わりではなく、継続的に状況を確認する体制を整えることが重要です。
定期的な確認の頻度を決めたうえで、次のようなタイミングでは臨時に確認します。
確認する担当者、使用する質問の一覧、記録のフォーマットを決めておきます。記録には、確認日、サービス名、質問文、回答の要点、誤りの有無と種類、対応状況を残します。継続して記録することで、修正の効果が出ているか、新たな誤りが生じていないかを比較できます。
製品や料金、会社情報の変更は、マーケティング部門以外で決まることも少なくありません。変更が決まった段階で公式サイトの更新とAI検索の確認が行われるよう、関係部署との連絡の流れをあらかじめ決めておくと、古い情報が残るリスクを減らせます。
商談や問い合わせの中で「AIで調べたらこう書いてあった」という声が出ることがあります。こうした情報を共有してもらう仕組みをつくると、監視で拾いきれない誤りにも気付きやすくなります。
AI検索が広がっても、AIが回答の材料にしているのはWeb上の情報です。ネット検索とAI検索は、どちらか一方だけを意識すればよいものではなく、両方に正しく伝わる情報発信が求められます。
そのため、従来のSEOで大切にされてきた、正確で分かりやすいコンテンツ、整理されたサイト構造、一貫した表記といった取り組みは、AI検索の誤情報対策としても引き続き重要です。AI検索向けの特別な施策を探す前に、まず公式サイトが自社について最も正確で新しい情報源になっているかを見直すことをおすすめします。
反映の時期はサービスや仕組みによって異なり、すぐに変わるとは限りません。修正後も継続して確認し、変化を記録しながら様子を見ることが大切です。
自社の見込み顧客が使っていそうなサービスを中心に選びます。営業部門や既存顧客へのヒアリングで、よく使われているサービスを把握しておくと判断しやすくなります。
AIが推測や組み合わせで誤った回答を生成する可能性はあるため、完全になくすことは難しいと考えるのが現実的です。正しい情報を明確に発信し、誤りを早く見つけて対応する体制を整えることが、取り組みの中心になります。
AI検索で自社の製品・料金・会社情報が誤って表示される問題には、次の流れで取り組むのが効果的です。
AI検索の誤情報対策は、特別な施策というより、公式情報を正確に保ち続ける運用の取り組みです。まずは自社に関する質問をいくつかAIに尋ね、現状を把握するところから始めてみてください。
ハイ・ヴァーチュ・ラボは、AI駆動開発・システムインテグレーション・マーケティングを一気通貫で提供するテクノロジーパートナーです。「自社の情報がAI検索でどう表示されているか分からない」「公式サイトのどこから整えればよいか判断できない」といったお悩みがあれば、無料マーケティング診断をご利用ください。現在の情報発信の状況を確認し、優先して取り組むべき点の整理をお手伝いします。